工房朋は、奈良市内の閑静な住宅街で約15名のスタッフとともに、日々人形制作に明け暮れております。
胡粉と膠(にかわ)という伝統的な素材を用いて、女の子が昔から身近に置いて愛してきた市松人形を中心に洋服を着た人形(洋服を脱がせて代わりに着物を着せることもできます)、小ぶりで対にすると雛人形にもなる人形など、いろいろな創作人形を作っております。
素材を練り合わせる、頭(かしら)をつくる、顔を描く、着物を裁つ、着物を縫う、着付けをする……。主宰者のイメージと細かい指示に沿いながら、みんな一生懸命に、そして愉しく仕事をしております。

もっとも伝統的であることが、そのまま現在の感性にかなうことを願って……。

主宰者 森重 春幸

【略歴】
1947年 大阪に生まれる。
北海道大学農学部卒業後、高校社会科教師・予備校教師を経て、30代なかばで人形の素材である胡粉と出会ったことにより人形制作を志し、製作技術を学ぶ。
1983年 奈良市登美が丘に「工房朋」を設立。以後、全国各地の百貨店、ギャラリーで個展を開催。
作品集に『市松人形たち』(毎日新聞社)、
『市松人形 Dolls To Remember』(講談社インターナショナル)がある。

人形について

-素材-

工房朋では和・洋の人形共に同じ素材を用いて人形製作をしております。胡粉と膠()という伝統的な素材を用いることが一番私たちの人形に対する理想、寄り添える、長くおそばに置いていただけ、修理→リンク ができるという理由から、古来より伝わる素材を用いております。

女児の風に靡く髪は、郷愁を誘います。髪の毛は人毛を第一としてこだわり、人形に丁寧に貼ります。ナイロン糸や絹糸もご要望により別誂え→リンクが可能です。

目は義眼用のガラスを嵌め込んでいます。

-工程-

工房朋の人形は伝統の素材を独自の製法を持って制作をしております。素材を丁寧に混ぜ、型に流し込みます。その間に目を入れ、固まったら取り出し、冷暗所で乾燥すること約2ヶ月。磨きをかけながら盛り上げたり、彫りを入れます。人形それぞれの個性が出てくる段階です。その後上塗りの胡粉をかけて、乾燥後、面相(眉、まつ毛、口紅)を施します。髪の毛を貼り、手足、胴体と組み立て、裸人形の完成です。一体を制作するには約3ヶ月ほどの時間がかかります。

-修理-

当初から、修理が可能でないことには、人形に対する理念である-長く寄り添う存在としての人形-にはならないと考えておりました。おかげさまで35年ほどが経ち、当初にお求めいただきましたお客様から修理のご依頼も増えてまいりました。工房朋の人形は胡粉の塗り直しや面相(眉、まつ毛、口紅)などが必要のない修理などはアフターサービスとして、無料でさせていただいております。髪の毛も張り替えも可能で、ご自身の髪の毛をお持ち込みされる方もいらっしゃいます。基本的に実物を見せていただいてからのお見積もりとなりますが、写真をお送りいただき概算を出すことも可能です。こちら→リンクからお気軽にお問い合わせ下さい。※工房朋以外の人形の場合、実物を見せていただいてからのお見積もりとなります。

着物について

-古裂-

工房朋の人形は着せ替えが可能で、その着物自身にも特徴があります。素材として、古くは幕末、明治・大正時代を中心とした、着物地を解いたもの-古裂-を用いています。美術館・博物館に所蔵されているものと同じ時代、質のもので、当時の最高の染め、刺繍などの技術が施された打掛、振袖、子供用晴れ着などからの古裂を裁断し、人形用に縫い上げています。現代においても、モダンな印象を見る側に与える、風合いのある着物と帯の柄には、帯揚げなどを省いたシンプルな着付けで十分だと考えます。

-お手持ちの着物で-

私どもが収集してきた古裂以外にも人形に着せる衣装として2つの方法があります。

 

 1.オリジナル別誂人形→リンク こちらはお客様のお手許にある着物、反物、裂地などをお持ち込みいただき、新たに人形用衣装として仕立て直し、着せ付けてお届けするものです。

 

 2.人形倶楽部朋 毎月一回、奈良のギャラリー人形朋で開催している人形きもの教室、人形倶楽部朋では、ご自身の手で1針ずつ縫い上げていただきます。ご興味のある方は詳しい資料をお送りいたしますので、お気軽にこちら→リンク からご請求ください。

​工房 朋 の歩みと前身

 工房朋は昭和58年(1983年)より、奈良市登美が丘で市松人形をはじめ、創作人形を日々制作しております。主催・森重春幸、とその母、森重正子が、‐自分達がほしいと思える人形を‐という合言葉のもと、その表情、細かな身振りまでこだわった人形を世に出し、今日まで至ります。

 

 今回、工房朋に関わる一家の歴史と背景を、簡単にご紹介をさせて頂きます。

 

 大正8年(1919年)に工房朋主宰、春幸の祖父であり正子の父、森重春雄が住吉で化粧品問屋「森重商店」を創業。大正13年(1924年)、正子誕生。

 

 昭和22年(1947年)、久宝寺橋東詰に土地を得て株式会社森重商店と改め設立。同年、長男として春幸が誕生。昭和36年(1961年)、正子は森重商店の2代目として社長就任。ピアノなど楽器類も取り扱いを始めます。

 

 昭和43年(1968年)、人形店が集まる大阪市中央区松屋町という土地柄に本社を構えていたこともあり、人形販売事業を開始。人形専門小売チェーンとなるまで一代で育て上げました。長年にわたり、人形を仕入れ、お客様へ届けるという仕事を通じ、正子は膨大な数の人形に触れました。いつか自分の好きな人形を作りたい、その強い思いは消えることなく、会社から退きました。

 

 昭和58年、森重春幸が「工房朋」を設立。正子は仕事の傍ら趣味で古裂を収集していた関係で、人形の着物の制作を担当。また同年、三代目の朋春が誕生。

 

 森重春雄から正子、春幸、また現在その長男・朋春も加わり、変わり続ける時代とともに形を変えることを厭わず、何を必要とされているか、人形作りにおいても、常に模索しております。

 

 工房朋の設立から35年、その前身も含めますと、おかげ様で本年でちょうど100年目にあたります。商都・大阪で培われてきた精神を忘れずに、工房朋はこれからも先を見据えながら、人形制作に励んでまいります。

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